Project story 02

お客様の声に耳を傾け、柔軟に応えていく世田谷区モビリティ化プロジェクト

東京都世田谷区では、2050年までのカーボンニュートラル、2030年までのネイチャーポジティブ(自然再興)の実現に向け、環境対策を加速させている。そうした中で、公用車のEV化や車両管理のデジタル化は、重点的に注力しなければならない取り組みだ。三菱オートリースは、車のリースにとどまらない多様なサービスを通じて、世田谷区の脱炭素化、業務効率化に貢献している。


※内容は2024年の取材当時のものです

Project member

R.K.

営業三部 営業二課

2014年新卒入社

埼玉県出身で、学生時代は水球部に所属し、日本一に輝いた経験もある。最近は筋トレにハマっており、子どもを寝かした後にジムへ向かう。

A.I.

BPO推進部 BPO推進課

2015年新卒入社

福岡県出身で、大学時代は広告の制作サークルでデザインを担当。休みの日は、2人の子どもと公園で遊ぶのが日課になっている。

H.S.

BPO推進部 BPO推進課

2017年新卒入社

宮城県出身で、学生時代はヒッチハイクで一人旅に出ていた。現在も妻と一緒に、これまで訪れたことのない新しい場所へ行くことが好き。

Background

手間を減らし、業務を効率化したい

「公用車の共有化と、予約管理のシステム化、公用車約200台のリース、および保守管理の委託を検討している」。三菱オートリースに一通の問い合わせが届いた。世田谷区で車両管理を担当する職員からだった。所有車両約200台を抱える世田谷区は、持続可能な社会の実現を目指して、EVの導入や業務効率化の検討を進めていた。実際、使い古されて機能性が低下してしまった車両が残っていたり、公用車の利用状況が一元管理されておらず、業務が煩雑化したりしていた。EVを中心とした環境配慮型の自動車に入れ替えを進めつつ、公用車をリース化して車両管理の手間を省くことはできないだろうか。営業として世田谷エリアを担当していたR.K.に声がかかった。

R.K.

「MALは、民間企業向けの社用車リースに関しては、プロフェッショナルな知識と経験を有しています。一方で、これまで自治体などの官公庁向け案件については、実績がほとんどありません。依頼された案件の規模は大きいのですが、民間企業向けと比べてノウハウが少ないため、不安もありました。まずは話を伺ってみようと、ヒアリングからスタートしました」

プロジェクトは、内容や金額など提案内容全体を踏まえて、世田谷区が落札事業者を決定するプロポーザル方式だった。そのため、世田谷区としてどのようなことを求めているのか、そのニーズを詳細まで汲み取っていくことが重要だった。世田谷区の置かれている状況を冷静に分析しつつ、適切なサービスを考えていく。

R.K.

「官公庁向け案件の実績が少ないということで、従来通りの考え方でしたら、プロポーザルに参加していなかったかもしれません。ただ、自動車業界は100年に一度の変革期と言われる中で、当社も『モビリティサービス企業への進化』を目指しています。お客様のニーズに合わせた柔軟な提案ができる企業として、社会に認知してもらうためにも、この案件を何とか成功させたいと思いました。背中を押してくれた上司や同僚には非常に感謝しています」

こうして落札を目指し、プロジェクトが動き出した。

Process

見えてきた新たな課題

まずは世田谷区としてのニーズを正確に把握すべく、週に2回ほどのペースで訪問を重ねていくR.K..。ヒアリングをしていくと、先方の新たな課題も浮かび上がってきた。その一つが、タクシーの配車システムが必要となっていることだった。例えば、家庭のトラブルなどで夜中に家を出てしまった子どもを、区の児童相談所が保護するケースがあり、そうした際に区職員は、タクシーを利用して児童を送り届けなければならない。しかしながら、区にはタクシーを配車するシステムはなく、料金も都度支払わなくてはならなかった。

R.K.

「タクシーの利用に障壁があることは、区職員の皆さんにとって非常に煩わしい状況です。特に児童相談所のケースなどは、社会課題の解決という意味でも提案する意義があると感じました」

しかし三菱オートリースでは、タクシーの配車システムは有していない。そこで、タクシーアプリ「GO」などを提供するGO株式会社に協力を依頼し、法人サービス「GO BUSINESS」の導入を提案内容に盛り込むこととなった。BPO推進部で、GO株式会社との調整を進めたA.I.はこう振り返る。

A.I.

「『GO BUSINESS』を導入したことで、タクシーの注文から、乗車後の請求書管理まで、PC上で手軽に行えるようになりました。当社としてはもともと持っていなかったサービスですが、あらゆるネットワークを駆使して、多様な企業とタッグを組むことができれば、新たな付加価値を提供することが可能になります。まさしく“モビリティサービス企業”として取り組んだプロジェクトです」

またプロポーザルに向けては、前述した公用車の管理(デジタル化)をどのように進めていくか、その道筋を示さなくてはならなかった。そこで一役買ったのが、三菱オートリースのテレマティクスサービス「DriveCloud+」である。ドライバー管理や日報・月報の記入など、社用車におけるさまざまな作業を自動化するシステムで、車両の稼働状況などが正確に掴めるようになる。BPO推進部でテレマティクスサービスの新規導入を担当するH.S.は、R.K.の訪問に同行し、ヒアリングを進めた。

H.S.

「テレマティクスサービス自体は、運転傾向などを分析して交通事故を未然に防止する目的のサービスですが、それに付随するかたちで、社用車の管理などもできるサービスです。例えば、ある区職員が公用車を使いたいとき、所属する部門の公用車が全て利用中であっても、システムを使って他部門の空き状況を調べて利用予約ができるようになります。そうすることで、公用車の共有化が可能になるのです。このシステムの提供に必要な情報を得るため、私も何度も足を運びました」

Result

膨大な職員数と車両の管理

度重なるヒアリングを経て、プロポーザルに参加。2度の審査を経て、三菱オートリースが落札者となった。提案内容が優れていたことはもちろん、何度も足繁く通い、正確にニーズを掴んでいったことも大きな要因となったようだ。

R.K.

「頻繁に訪問したことで、世田谷区としてどのようなところに課題があり、それをどうすれば解決できるのか、ニーズを根本的な部分から把握することができました。官公庁向けと民間企業向けでは、ビジネスの形式は異なりますが、ニーズを探り、それを解決するために動いていくことは、どちらも変わりがないのだと気づかされました」

無事に落札となったものの、ここからが本格的なプロジェクトの始まりだった。車両の共有化やタクシーの配車システムを稼働させるには、4000名を超える区職員の正確な情報を取得しなければならない。受注後も再度訪問を重ね、サービス開始に向けた取り組みを進めていった。

H.S.

「職員数や契約台数が多いため、どの車両がどこにあり、誰がどの部署に所属しているのかなど、世田谷区の体制を把握することに時間がかかってしまいました。また職員数や契約台数が多い分、各システムにIDを登録する必要があり、パートナー会社様にも尽力いただきながら、進めていくことができました。これほどの人数のIDを管理することは、三菱オートリースにとっても、私にとっても稀なケースであったため、貴重な経験になったと思います」

多くの関係者を巻き込みながら準備を進めていくプロジェクトのメンバーたち。そして2023年7月、リース契約や各種サービスの利用が開始となった。

Future

三菱オートリースの可能性をつくる

サービスの利用は開始したものの、その取り組みは今も続いている。

A.I.

「タクシーの配車システムは、現状はPCからの利用をベースとしていますが、区職員のスマホ利用が普及すれば、スマホ1台ごとにIDを追加する必要があるなど、今後もさらなる機能改善が求められます。パートナー会社様との連携を深め、より良いサービスにしていきたいですね」

またモビリティサービス企業として、三菱オートリースがお客様のニーズに合わせ、柔軟な対応ができることを証明した本プロジェクト。今後も世田谷区に貢献していくことはもちろん、他の自治体へサービスを広げていくビジョンもある。

R.K.

「プロポーザルのときから、車両のリースやサービスの提供だけではなく、三菱グループとしてモビリティサービスを通じて街に貢献するということを、先方に伝えてきました。例えば最近では、これから導入する公用車のEVのバッテリーを、リース終了後もきちんと二次活用するために、災害時用の電源として使えるようにするという提案を行っています」

H.S.

「MAL内で部門の垣根を超えて案件を進めたり、またこれまで取引のない会社様とも連携を始めたりと、モビリティサービスを提供するために必要な、新たな動きができたプロジェクトだったと思います。今後、同じような取り組みを実現したいお客様へアプローチできると、良いサイクルが生まれていくと感じます」

三菱オートリースとして未知の取り組みだった今回の自治体向けプロジェクト。新しいサービスのかたちをつくり、今後の可能性が大きく広がった。次はどんな姿に進化してくれるのだろうか。

アセット 3